として一度書いた記事だと思うのですが
毎年、この時期になると新年度4月に大学院入学される方々からのお問い合わせをいただきます。
「人より先んじる」のは、進んでいること以上に心に余裕をもたせるので、
何事も早くに取り掛かるに越したことはありません。
さて、では4月から大学院に進学される方は、今何をしておくとよいでしょうか。
私は、
研究に向けてのアップ
だと思います。
すみません、体育会系だったもので、アップというのは一般的な表現ではないのですが、
運動の前の肩慣らしのようなものです。
一般的な準備体操とはちょっと違って、
さぁやったるで~!という気合の入った準備運動
というイメージです。
もうすでに入試の時に研究計画を提出されていると思うのですが、
この段階での研究計画は研究としての具体性がまだまだ絞り込めてない場合が多く、
実際、ゼミが始まってみると計画が変わることもよくあります。
ですから、
「進める」のではなく、その場で「アップをする」のが効率が良い
と思います。
具体的には、
まず、何をテーマとしてどのような内容を考えているのか、
これを
1分で説明
できるようにしておく。
言うは簡単、行うは難し。
実際、まとめだしてみると、なかなかできません。
これは自分でも何をしたいのか、
何をするのかわかっていない状態。
そのためには、基本の基として、まず、テーマとして考えていることに
「関連する」先行研究を読み込んでいかねばなりません。
何度もブログで繰り返していることですがこれが肝心要、まずありきです。
4月に入って、指導教官に、
こういう先行研究を読んできて、
こういう問題意識を持ったので、
こういうテーマで
こういう目的、
こういう方法で研究していきたいと
さらさらと説明ができるようにアップしておく。
もちろん、指導教官のご指導の中でテーマや計画が変わることもあるかもしれません。
でもアップしたことは練習でもありますから、
頭はすでに研究に活性化しているので、
一からスタートに着くよりもずっと先を走れるのではないかと思います。
色々とこれからに期待と不安を持たれているころと思い嬉しい
これは多分に研究計画の段階で失敗している場合が多いです。
よくあるのが目的と取ったデータが噛み合っていない。
分析で噛み合っていないのは後で修正も聞きますが、
データと目的が噛み合っていないのは、結局、論理性が成り立っていない、中身がないのと一緒で、不合格になる可能性が高い。
この段階かSOSを出されてサポートを受けた場合、
既に取られているデータから目的を変えたり、ストーリーを変えたりして、
後付けで 考えていかねばならず、非常に苦しいです。
可能であるならば、新たにデータをとる、あるいは取り直すということもありますが、これはあくまでも時間的余裕と、データをとるフィールドがある場合です。
この失敗のまま、提出されて不合格になったり、あるいは提出前に提出不許可になって、サポートをお申し込みいただく方々が毎年一定数おられます。
目的は何なのか、その目的を明らかにするためにそのデータで的確なのか、このように書くと当たり前のことなのですが、ずっと考えていると煮詰まるのか、この部分でつまづく人が多い。
今一度、
目的と方法、結果で得られるデータがかみあっているのか、
よく見直されてくださいね。
気分的に秒読み段階にあるといった進捗状況の方のセッションが今終わりました。
明日の夜までにあまたの作業を宿題として出しました。
提出できれば、おそらく、ムーンサークル始まって以来の最短提出となりそうです。
不可能と思えば不可能になる。
可能と思えば可能になる。
後者にかけたいと思います。
ちょっと頭が重くなったチューリップの頑張っている様子に、よし、何が何でもサポートするぞという意気込みをもらいました。
以前にも書いたかもしれないのですが・・・もう一度。
研究計画の段階でよく出てくるアイデアが効果研究。
最初に0の段階を確かめておいて、トレーニングや授業法など何らかの実験条件を行って、1か月~数カ月後にその効果、あるいは影響を測定するというデザイン。
わかりやすくてアイデアとしても浮かびやすいため、安易に取り掛かる方が多いです。
はっきり言って、効果研究で結果として効果を得るのは並大抵ではありません。
1-2か月で効果を得るためには緻密に積み上げられた下準備のもとに練り上げなければまず無理です。
また、統制群を立てるのか,否かなど統制条件の考えておかねばなりません。
安易に始めてしまうと、効果は出ないわ、そもそも実験条件と結果を評価する内容がかみ合ってないわ等、最後の最後になってバタバタしてしまうのが落ちです
効果研究をこれから計画しようと考えられている方は、ただの思いついたアイデアから始めるのでなく、本当に効果が出るという仮説が立てれるのかどうか、その論拠を先行研究から挙げることが可能かどうか、よくよく考えてからGOされてくださいね。
インタビュー調査やアンケート調査のサポートをさせていただいているとき、結果と考察の区別が判然としない論文を書かれる方が少なからずあります。
時として、「論文が書けました、これで投稿しようと思います。」と持ってこられた論文が、「え???、結果しか書いてないですよ~???考察がないですよ~???」といって、驚く場合もあります。
あるいは、先行研究を読んだとき、「考察がなく結果しか書いてなくて、これで良いものなんでしょうか?」といった質問を受けることがあります。
確かに、論文を読んでいると結果と考察を交えて書いているのかなぁと思うものも散見されるのですが、基本の基として結果と考察は別物ですから、きっちりと分けて区別して書かねばなりません。
投稿論文を例にしてみると、投稿先から要求されるレベルはいろいろありますが、いわゆるアクセプトのハードルが高い学術雑誌の原著論文を例にみてみると、一般的なインタビュー調査やアンケート調査の手法を用いた論文は、明確に結果と考察を区別して書いています。
例えば、MGTAの手法を使って、カテゴライズして概念図を書いても、あくまでもそれは分析の結果を示した段階で、そこ(結果)から何が読み取れるかを俯瞰的にみて考察を書かねばなりません。
考察の内容もだらだらと書くのではなく、いくつかのポイントを結果から抽出して。論点を絞って考察することが求められます。
このように書いていると、あたりまえやろ、と思われる方も多いかと思いますが、実際、特に初学の方において、結果を書くところで精魂尽き果て、これだけ苦労して書いたからこれが考察だと幻覚にとらわれるたかのごとく・・・指摘されるまで、考察を書いていないことに気づかれない方がおられます。
話は少しずれますが、こういった場合、最初のリサーチクエスチョンがしっかりできていない方が多いような印象です。
インタビュー調査やアンケート調査をされている方は、結果と考察を書くという当たり前のことに、今一度留意されてくださいね。
© 2024 mooncircle - Theme by Themefyre