◆先に要点
アクセプトは運ではなく、
適合性 × 新規性 × 妥当性 × 可読性
の掛け算で決まります。
◆進め方の全体像
① Aims & Scope の適合を先に確認
狙い誌のAims & Scope、過去掲載テーマ、推奨研究タイプをチェックし、
「この雑誌に載る理由」を1文で言語化します。
② 新規性を“1文主張”で明文化
何が新しいのか(差分:一致/相違/拡張)を1文で提示。
先行研究との位置づけ表(比較表)で読者の理解を先回りします。
③ 方法と解釈の整合を図表で検証
目的⇄方法⇄結果⇄解釈の一貫性を、
研究デザイン図・主要表・効果量/CIで示し、妥当性を視覚的に担保します。
④ カバーレターで“編集判断の理由”を添える
編集者が採否を決めやすいよう、
適合性・新規性・妥当性・読者価値を各1–2文で明記し、
なぜこの雑誌なのかを端的に説明します。
◆ショートまとめ
どの雑誌で、何が新しく、なぜ正当か
を冒頭で証明できれば、通る確率は上がる。
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最近、修士論文を書き終えた方から「この内容を投稿論文として出したい」という相談をいただくことが増えています。
もちろん、修士論文をもとに投稿論文を書くこと自体は非常に有意義なことです。
しかし一方で、「投稿すれば掲載される」と、やや安易に考えている方も少なくありません。
修士論文と投稿論文では、求められる水準や審査の厳しさはまったく異なります。
特に投稿論文は、
内容の新規性,
理論的貢献.
方法の妥当性,
論理構成の精密さといった点が厳しく見られます。
学術誌によって採択率は異なりますが、国際的に権威のある雑誌では1割を切ることも珍しくなく、たとえばNatureやScienceといった雑誌になると、採択率は
1%以下とも言われています。
問題なのは、こうした厳しさを理解せず、
経験や思いつきに基づいた調査や実験に理論的な裏付けを与えないまま投稿を試みるケースです。
先行研究のレビューも不十分、仮説も構造化されておらず、データの解釈も曖昧なままでは、どんなに手間をかけて書いても、掲載には至りません。
また、ムーンサークルで投稿論文サポートを受講される方の一部に、
「講師がこう言ったから」
「AIがこう出したから」と、
自らの判断を棚に上げて責任を他者に委ねようとする姿勢が見られることがあります。
しかし、論文というのは、
著者自身がそのテーマについて最も詳しい「主宰者」であるべきものです。
他人の助言を受け入れることは大切ですが、それを鵜呑みにせず、自分で考え、選び、組み立てていく
――その“主体的な研究姿勢”がなければ、論文の完成度は絶対に上がりません。
これは博士論文でもまったく同じです。
研究の質や進行は、指導者の手によってではなく、自分自身の手によって築き上げられるものです。
ムーンサークルのセッションは、単に原稿を「添削してもらう場」ではありません。
あなた自身が深めてきた内容を講師とディスカッションし、
精度を上げていくための知的な対話の場です。
主体的に研究と向き合い、自分の言葉で語る力を持ってこそ、初めて論文は「通るべくして通る」ものになります。
投稿論文や博士論文を目指す方にこそ、
「他人任せでは絶対に通らない」という現実をしっかり認識していただきたい。
準備には時間もエネルギーもかかりますが、あなたが本当にそのテーマを深く理解し、自ら問いを立て、言葉を練っていく――その過程にこそ、研究の本質があるのです。












