時々受講生の方から、
調査に必要な対象者数や、すでに行っている
調査の対象者数の妥当性について質問を受けることがあります。
そのような際、「被験者が20名で統計分析を行います」といった声を聞くこともあり、被験者数の重要性が軽視されていることが危惧される場合があります。
実際にはどの程度のサンプルサイズが必要なのでしょうか。
今回は、特に相関分析を例に、
必要な被験者数について解説します。
【1】相関分析に必要な被験者数の目安
相関分析における必要な被験者数は、
効果量の大きさ、
信頼水準、
検出力(通常は80%)
によって異なります。一般的なガイドラインは以下の通りです:
- 効果量が中程度 (r = 0.30) の場合80%の検出力を確保するには、約85名以上の被験者が必要。
- 効果量が大きい (r = 0.50) 場合40名程度の被験者がいれば、大きな効果を検出するのに十分。
- 効果量が小さい (r = 0.10) 場合、有意に検出するためには約780名の被験者が必要。
【2】効果量とは?
効果量とは、統計的な分析で観察される効果の大きさや強さを示す指標です。
相関分析では、効果量として相関係数 (r) が使われ、変数間の関連の強さを示します。
単に「相関があるかどうか」だけでなく、
「その相関がどれほど強いか」を判断するために役立ちます。
例えば、
「相関係数が0.10あれば関連があると言いたい」という場合、
統計的に有意な結果を得るためには
約780名の被験者が必要となります。
これは、一般的な80%の検出力と5%の有意水準に基づく目安です。
【3】サンプルサイズと統計的検出力
相関が小さい場合、サンプルサイズが十分に大きくなければ有意な結果を得るのが難しくなります。
統計的検出力を確保し、研究結果が信頼できるものであることを示すためには、
効果量に応じた適切な被験者数を設定することが重要です。
統計分析を計画する際には、
必要なサンプルサイズを正確に見積もることが、信頼できる分析結果を得るための鍵となります。