前回に引き続き。添削サポートをお引き受けできない事例について。
博士論文は最終の公聴会に至るまで、通常は何回かの非公式の公聴会(ちょっと変な表現)が繰り返されます。
そこで色々と、指摘が出て、それに合わせて加筆修正していかねばなりません。
過去に、
「この論文の新奇性が感じられない。新奇性のある内容について書き直すように」といった指示が、主査や副査の先生方から出されたそうで、その「新奇性」について加筆してほしいという添削依頼。
これは、まず投稿論文の査読が返ってきた場合と一緒で執筆者考えて、加筆修正するべき内容です。
洗練化のためのディスカッションは良いですが、他者に書き直しを依頼するのは、代行になります。
それと、そもそも「新奇性」がないということは、根本的に全体を考え直さなければいけない本質的な問題の指摘です。
それを「添削で加筆修正」できると考えるのは、その時点で、甘いと思うのですね。
そんなに簡単な問題ではありません。
おそらく私たちがサポートするとするならば、内容も当然ながら構成から考え直したり、新たな宣告研究を追加して別の視点や論点を入れたり、場合によっては追加データを加えることも考える、そういったことをディスカッションする個人セッションを重ねると思います。
いつもになくちょっと厳しい言い方になってしまいましたが、たまにはよいですかね。
よろしくご理解くださいね。
歴史学という広い領域に入ると思うのですが、何らかのテーマや論点に沿ってその歴史を追う「~史学」といった学問の領域があります。
この領域でのサポートをさせていただくことが、偶然、これまでに3回あり、いずれも面白いテーマで、印象に残るご研究でした。
つい先日、その一つが完了したので、ちょっと思うところをメモしておきたいと思います。
当然、史料の収集が命で、たくさんの資料を探して読まなければなりません。
最近はインターネット上で Archiveがあり、16世紀ぐらいの資料も閲覧できるようで、驚きました。
代表的なサイトはInternet Archive “Wayback Machine”で、
このリンク先(上の文字にリンクを貼っています)で検索できます。
先日のテーマでは、現在に至る考え方がどのような変遷をもってきたのかを読み解いていくというご研究でしたが、その変遷でターニングポイントとなる時期、またターニングポイントとなる言及をされたキーパーソンを宝探しのように、見つけていきました。
また、単に、歴史上のポイント的な探索をするのでなく、その時代を取り巻いていた文化や環境も考察していかなければなりません。
歴史を単に追っていくならば事実を記載していくだけのように見えますが、
何らかの新しい視点や発見を入れなければならず、
そこに、独創性や新規性が求められるわけでその点は、学術論文の共通項ですね。
史料の確かさや解釈、
変遷の流れの捉え方に対する
論理的な説明で
信頼性を高める、といったことが、論文の評価基準に照らしあわされて読まれるわけで、求められるこれらの基準のポイントも共通項と思います。
また、指導教官によって考え方の違いはあるかもしれませんが、
論文構成はIMRD(Introduction/Method/Resut/Discussion)で書く、
これも共通項です。
ふと思ったことですが、研究者になるのではなくとも卒論や修論を描くことが求められるのは、
こういう思考の方法を身に着けるトレーニングなのかなと、改めて思った次第です。
今日は独り言っぽいブログになりました・・・(o^―^o)
として一度書いた記事だと思うのですが
「新規性」とは この論文は新しい一歩を踏み出していますということを示すことで、論文での主張や提案の内容が、これまでの先行研究で指摘されていない新しい視点であるかどうかということです。
大きく分けて優先性(Priority) と独創性(Originality)の二つに分類することができます。
優先性(Priority):早い者勝ち
先に公式に発表 されたものにまず「優先性」が認めらます。
特許が絡んでくる工学系は優先性は非常にセンシティブな問題で、どこまで発表どこまで隠すか、隠しすぎると批判を受けるしで、苦労されているようです。
どの分野でもいえることは、公式に発表するまでは、安易にブログなどで内容をにふれたり、部外で資料を配布したりしないように気をつけましょう。ただ、色々な人とディスカッションすることも重要でその辺りのバランスは悩ましいところです。
オリジナリティ(独創性):論文の要
独創性とは論文の主張や指摘に新しい発展の可能性があることです。
「あなたの論文の (研究の)オリジナリティはどこのあるのですか。」と言った質問が論文発表会の質疑応答で時折見られます。
それほど論文の要となる要素です。
「独創性」と「優先性」の重要度では、圧倒的に「独創性」の方が価値が高いです。「独創性」が認められないと、投稿論文はアクセプトされません。また、先行研究と自分の研究を比較して、優先性は先行研究にあるけれども、独創性は自分の論文にある場合、優先している先行研究について、自分の論文の中でその位置づけを明確にしたうえで自分のオリジナリティを導くことが求められます。また、論文で主張する内容が先行研究とどのように違うのかを論理的に明確にすることも必要です。
補足ですが、既存の方法や尺度などを組み合わせて、その組み合わせに新規性があると主張するこことも 当然ありです。
まとめると、関連の先行研究を十分検索して検討し、優先性を慎重に確認して、自分の論文の+αのオリジナリティがどこにあるかを見極めて論理的に主張・追究していくことが重要ということです。
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