インタビュー調査で内容分析を行う際には、M-GTAや質的内容分析など、研究方法の枠組みに沿って進めることで、できる限り客観性や妥当性を担保していくことが大切です。
しかし、どれほど方法論を丁寧に押さえていても、カテゴリーをどこで区切るのか、どのようなカテゴリー名にするのか、似たような語りをどのカテゴリーに入れるのかといった判断には、一定の解釈が伴います。
つまり、質的分析には研究者の主観や判断がまったく入らないわけではありません。
そのため、分析ノートを残しておくことは非常に有効です。
なぜそのカテゴリーを立てたのか、どのような基準でデータを分類したのか、その時点で迷った点は何だったのか。
こうした記録は、後から分析を見直す際の大切な手がかりになります。
ただ、それでもやはり、内容分析はできるだけ一気呵成に進めた方がよいと感じます。
2、3日程度なら問題ないことも多いですが、1〜2週間空いてしまうと、分析していた時の頭の働きや問題意識がかなり薄れてしまいます。
カテゴリーを作った時には明確だったはずの基準も、「なぜここに入れたのか」「なぜこの名前にしたのか」を思い出すのに時間がかかります。
もちろん、第三者、とくにその分野に詳しい研究者とディスカッションし、カテゴリーや解釈を洗練させていくことは重要です。
むしろ、質的研究では欠かせないステップといえます。
ただし、その段階に進む前の一次分析は、できるだけ間を空けずに進めた方が効率的です。
論文サポートの現場でも、数週間前にいったん終えた内容分析を、十分な納得感や吟味のないまま置いてしまい、投稿直前になって慌てて見直される受講生の方があります。
すると、研究の焦点や文脈が見えにくくなり、かえって分析全体が泥沼化してしまうことがあります。
一方で、意図的に「熟成期間」を置くことには意味があります。
いったん距離を置くことで、見えなかった構造が見えてきたり、カテゴリー名がより適切なものに洗練されたりすることもあります。
ただし、その場合も「放置」ではなく、「意図的に寝かせる」ことが大切です。
私の感覚では、熟成期間として置くとしても、まずは1週間程度が一つの目安です。
内容分析は、細かな判断の積み重ねです。
だからこそ、その時の思考の流れを保ったまま、まずは一気に形にする。
そのうえで、少し時間を置き、第三者の視点も交えながら洗練させていく。
この流れが、質的分析を迷子にしないための、現実的で有効な進め方だと思います。





