数年前までは、インタビューの文字起こし作業はかなり手間のかかるものでした。専用のアプリを使って音声を遅送りし、何度も繰り返し聞きながら手作業で文字にしていくというプロセスが必要でした。しかし、今では多くの便利な文字起こしアプリが簡単に手に入り、作業の効率が格段に上がりました。これにより、文字起こしが手軽にできるようになったのは間違いありません。
しかし最近、この技術を利用してインタビューの文字起こしを行う際、やや的外れな方法で行われているケースをよく目にするようになりました。そこで、今日はこの問題について少し考えてみたいと思います。
AIに頼りすぎた文字起こしと内容分析
最近よくあるのが、
AIを使って文字起こしと内容分析を一度に行おうとするケースです。
AIに音声ファイルを読み込ませ、同時にその内容を自動的にカテゴライズしてもらうという流れです。
一見、非常に便利で、きれいにまとまった結果が得られるように思えるかもしれません。
しかし、そのカテゴライズされた内容が、研究の主旨や目的にそぐわないことが多々あります。
例えば、議事録の作成にはAIは非常に有効なツールですが、
研究として行うインタビューの場合、目的に沿ったカテゴライズが求められます。
いくらきれいにまとめられていても、研究としての価値がなければ意味がありません。
具体的には、その内容が概念図に描けない場合や、インタビューの目的を反映していない場合などです。
AIの正しい活用法とは
AIを活用する際、重要なのは
研究のプロセスを効果的に細分化し、
そのプロセスごとに適切にAIに質問を投げかけ、
結果を練り上げていくことです。
このプロセスを丁寧に行うことで、AIを導入することによって研究の効率は大いに向上します。
しかし、このプロセスを省き、
単に最後の分類だけをAIに任せるのは、研究とは言えず、AIへの丸投げにすぎません。
AIは手を抜くための道具ではなく、研究の手助けをするためのものです。
道具に頼りすぎてはいけません。
文字起こしから内容分析までAIに丸投げする人々は、
質問しても的外れな答えが返ってくることが多いです。
これは、自分自身で理解せずにAIに全てを任せてしまい、
研究の本質を把握していないからです。
研究におけるAIの活用と正しいアプローチ
最適な答えを導くためには、一足飛びに結果を得るのではなく、
一つひとつのプロセスを丁寧に進めていく必要があります。
特に、研究の進行を導く「かじ取り」は研究者自身が行わなければなりません。
そのためには、まず自分の研究について深く理解することが重要です。
これから論文を書く方々には、AIを活用する際の落とし穴に注意し、
道具に使われることなく、しっかりと自分の研究を進めていくことを心掛けていただきたいと思います。