秋も深まり、修士論文や卒業論文の提出が迫ってくるこの時期、多くの学生から
「まだ修論の形ができていなくてどうすればいいかわからない」
というご相談をいただきます。
論文の進捗やデータの有無は一人ひとり異なりますが、共通して重要なのは、
何よりも提出期限内に完成させることです。
そのためには、まずは全体の流れや構成、
言い換えれば「論文の体裁を整える」ことが最優先になります。
先行研究からどのような論点が導き出され、そこからどんな目的や仮説を立てたのか。
その仮説を検証するためにどのような方法を選び、どんな結果を得たのか。
そして、それを基にどのような考察を行ったのか
──このように、論文全体に一貫した論理の流れがあれば、
最低限「完成した形」にはなります。
あとは、残りの時間で
その骨組みを磨き、精度を高めるだけです。
特に注意が必要なのは、最近よく見られる
AIを部分的に利用してパッチワークのように組み立てられた論文です。
部分的には完成しているように見えても、全体の流れが急に変わったり滞ったりして、
論文としての一貫性が失われてしまうことが多いです。
最も大きな問題は、理解が不十分なまま書かれているため、ゼミでのディスカッションや
口頭試問に耐えられないケースが増えていることです。
「なぜその方法を選んだのか?」「なぜその考察に至ったのか?」といった
基本的な質問に答えられず、論文が破綻してしまう危険があります。
進捗が思わしくなくて焦りを感じる時期かもしれませんが、
まずは冷静に論文全体の構成を整え、一貫した論理の流れを作ることに集中しましょう。
Slow and steady wins the raceで、
焦らず着実に進めることが成功への鍵です。