結果を統計で分析する。。。。と聞くと難しく聞こえるのですが、複雑な計算は統計ソフトがやってくれるので、
数値を出すだけならさほど難しくなく、実際やってみたら「案外簡単!」
と思われるかもしれません。
しかしながら、ここに魔物が住んでいます。
実際、論文を提出されてからのちに、口頭試問のサポートのお問い合わせをいただいたケースで、何だか数値は書かれているものの、
「有意な数値」の「有意」を間違って理解されていたり、
分析で得られた数値の意味を十分に認識されていなかったりで、
根本的に結果が間違えている、というケースがこれまでいくつかありました。
このようなケースでは
「なぜこの統計分析を行ったのか、その意図は何ですか?」
と質問すると
「先行研究でされていたからまねした」
というお答えが多いです。
先行研究の分析と同様の方法で追試するというのはありではあるのですが、それは追試の場合であって、
研究のオリジナリティ(独自性)を追求するならば、
新たな視点で、
明確な目的をもった統計分析が当然求められます。
何を明らかにするためにそれを行っているのか自分で、しっかりと理解して行わないと、何の考察も生まれてこない。
それからまた、単純集計をもって統計分析をした、と考えている方が時々見られるのですが、
それは文字通り集計しただけのもの。
コロナ禍で直接的に渡す紙ベースの質問紙調査が敬遠され、Googleフォームのアンケートを使う人がほとんどだった昨年度、Googleフォームでディフォルトで集計されてくる記述統計、いわゆる短銃集計をもって統計したという人が意外にも多かったので、あえてここで、注意喚起しておきます。。
統計は統計ソフトが数値を出してくれるので、何となく、やった感を得て、ほっとしてしまう人がいるけれども、
統計はあくまでツール。
何を検証するために、ツールを使うのかを明確に自分で理解しておかなければなりません。。
また、ツールの中でもトンカチを使うのか、のこぎりを使うのか、言い換えれば、相関分析をするのか、多重比較をするのか、重回帰分析をするのか、など、
目的に沿った道具を使わないといけない。
その根本的な失敗の原因のルーツをたどっていくと、研究計画の段階で目的が明確でなかったことにある場合が多いです。
そこで、結局は基本に立ち返るのですが、研究計画をしっかり構築しておくことが重要で、
その延長上にやるべき統計分析が見えてくるわけで、
また当然のことながら、
統計の基礎基本の概説書を1冊は手元に置いて統計を進めることが必須なのは言うまでもありません。
