おかげさまで年々、受講生の方は増加傾向にあります。
しかしながら、その一方で、あまりに研究に対するスタンスが甘すぎて、ご受講いただいても、合格という成果まで責任をもってサポートできないと判断して、お断りするケースの散見されるようになりました。
そのようなケースのほとんどが
半構造化面接、いわゆる、
インタビュー調査の手法で修論を書かれるケースです。
インタビュー調査を予定されている多くの方は
先行研究を読み込み、
緻密に研究計画から練り上げて、
質問項目を整理し、
およその予測をたててインタビューに臨まれます。しかしながら、
しかしながら、中には半構造化面接甘く見すぎていて、
「とりあえず話を聞いてまとめればいいのでしょう?」
というスタンスの方が見られます。
録音したインタビュー内容の分析も、
「分類してまとめればいいだけでしょう?」などなど。
まず、こういうスタンスはアウトです。
そのような甘いものではなく、
質的研究という一つの手法であるからには、
何よりもまず
どのような目的で調査をするのか、
その目的を実証するために
どのような分析方法をとるのか、
最初に明確にしておかなければなりません。
特に分析の手法。
質的研究法の分析は様々です。
よく使われるのは
M-GTA(修正版・グランデッド・セオリー・アプローチ)、
GTA(グランデッド・セオリー・アプローチ)、
KJ法、SCAT(Step for Coding and Theorization)、
TEA(複線径路等至性アプローチ)、
回想法(ライフレビュー)、
ナラティブ分析などなど。
補足ながら、インタビュー調査だけでなく、自由記述などの質的研究もしかりで、大量のテキストになると例えば、
テキストマイニングといった方法もあります。
とにかく、
目的によって最適の手法を選択していかなければなりません。
インタビュー調査は、取り直すことはできません。
Research Questionも立てずにただ雑談をしただけのインタビューでは研究にはなりません。
昨年度もこのようなケースがいくつかあり、甘かったことに気づいていただければ、後付けで何とか研究の体裁は作れたものの、若干のケースで、あまりにとらえ方が甘く、主体的な取り組みも見られなかったので、受講していただいても料金が無駄になると考えて不本意ながらお断りすることになりました。
博論や投稿論文と異なり、修論では初めて研究する方が多いので、基本的に私たちは、後ろから押し上げる、時にはどんどん引っ張っていくというスタイルをとりますが、胡坐をかいて早く引っ張ってくれ、という方には、どうにもアプローチの仕方がありません。
また、修論が未完成であった、あるいは不合格で再提出になった方からの私共にお問い合わせいただいた方の半数以上がインタビュー調査の失敗にあります。
インタビュー調査、と聞くととっつきやすいイメージがありますが、質的「研究」ですので、まずは質的研究とは何か、という理解から始めてくださいね。