新年度に入り、昨年度の修士論文、卒業論文のサポートで。思ったところをまとえておこうと思います。
毎年新たな方々のサポートをご依頼いただき、昨年度もまたもより多くのかたをサポートさせていただきました。
人数が増えるにつれ様々なケースに遭遇します。
その中で、実質的に「(修了)不可」とな2るケースもあり、それについて今日は書いてみたいと思います。
「不可」となったケースのほとんどは、わたくし共のほうでも内容を十分に吟味するにはすでに時間切れで、提出しても修了を認められるレベルは難しいと申し上げたケースでした。
不可になったケースを典型的な2つのパターンについて、2回の記事に分けて書いていきたいと思います。
修士論文の不可(不合格)は提出前に言われることがほとんど
それと以前にも書いていますが、大学や大学院での論文の「不可」は提出して落とされるのではなく、「提出してもいいか」と指導教官に伺った時点で、「内容が修論・卒論のレベルにたっしていないので提出を認めない。」といった形での「不可」となります。いわゆる留年という形ですね。
行き当たりばったりでは意味のある結果はほぼ無理
さて、1つ目のパターンは、具体的には心理実験や調査等の取り掛かりが11月~12月に入ってからのケース。
先行研究を読み込んで、どのような結果が得られるか十分な予測をたてて、実験デザインや調査デザインを作らないと、思い付きだけでは研究というレベルでの結果を得ることはほぼ無理です。
私共のほうでは、合格はかなり厳しいとお伝えして、それでもどうしても提出したいという意思を伝えられたので、サポートの中でできる限りの論文の体裁を整えました。
しかし、調査や実験で得られた結果は結果。変えることはできません。
十分な先行研究の読み込みのもとに建てられていない予測やはり甘い
きっちりとした裏づけや予測をもって実感・調査に臨んだか否かは、教授陣が読めばすぐにわかります。
「何となくこんな結果になる気がする」といった甘いとらえ方では、まず意味のある結果は得ることができません。
仮に統計的に有意な結果が得られても、おそらくそれは、だから何?あたりまえすぎるやろ、といった結果、いわゆるひねりのないデザインの場合がほとんどです。
本当に侃々諤々のやり取りを日夜して、なんとか体裁を整えて、それらのケースのうちおよそ9割がなんとか合格にこぎつけましたが、1割の方は提出許可がでませんでした。
十分な理解のもといたしかたなく12月にデータをとったケース
もちろん、12月にとりかかったから、もうだめなのかというと、それは必ずそうではありません。
ある方は、用意万端できていたものの、12月まで倫理委員会の許可がずれ込んで、ようやく許可が出て、大急ぎで調査に取り掛かりました。
調査だけでなく、分析や執筆の時間が必要でしたので、最後までひやひやしました。
しかし、それはあくまでも時間的なひやひやで、師走の12月、年末年始、提出までの数週間、連日連夜一緒に頑張った結果、提出された論文は高い評価を得ました。
実施は12月になりましたが、自分の研究に対する十分な理解の上での実施だったので、その後のプロセスは非常にスムーズだったと思います。
もちろん大学院によって求められるレベルは異なりますが、特にある程度の知名度のある大学院になると、対外的な質の維持も必要となりますので、そうそう甘くないと心得てください。
ではまた。
今日の記事がどなたかのご参考になれば幸いです。